140-letters Novels

  • 太陽の暈をくぐった紙飛行機は本物の飛行機になるんだと病床の息子は言った。それに乗って行けば神様に会えるんだと。そんな事を思い出したのは深夜、会社の窓から見上げた月に暈がかかっていたからだ。手近な反古紙を飛行機に折り、満月を思い切り射た。あれに乗って行けば、お前の星に辿り着けるか?
  • 先祖が盗んだ蒼玉は泣く子も黙る祟り石で、一族全滅前に戻しに行くも道中災難続き。宿で座った椅子まで訳ありで、玉と椅子が私の呪殺権を巡り激突、潰れた宿の主に椅子を持たされ災厄まみれの同行三人で遺跡到達。石像へ戻り力を増す玉、それを像ごと倒して椅子に座らせ一目散に逃げて以来私は息災だ。
  • 祖父のお年玉はジグソーパズルだった。拍子抜けしながら組み立てると、凧を背景に狸と小鳥がコタツでお屠蘇を呑んでいる絵。「狸」「小鳥」の名前に赤線が引いてある。閃いて凧のピースを抜き取ると、薄く「あけまして」の文字。ピースを二つに開けるとくり抜かれた中に「お目出度う」の紙と一万円札。

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